「防火管理の業務委託」って結局なに?

FILE No.004 ・ 防火管理 業務委託ガイド

その防火管理、
最後に見直したのはいつですか?

「防火管理の業務委託」って結局なに?を、初めての方にもわかるように、やさしく丁寧に解説します。

READING TIME ・ 約7分 / 対象 ・ 飲食店・マンション・神社寺院・中小事業者

そもそも「防火管理」って、何のこと?

防火管理とは、火災を未然に防ぎ、もし起きてしまったときの被害をできるだけ小さく抑えるための、日々の備えと体制づくりのことです。難しく聞こえますが、要するに「うちの建物は、いざというときに大丈夫?」を、誰かがきちんと管理している状態を指します。

消防法では、一定規模以上の建物に対して「防火管理者」を選び、消防計画をつくって消防署に届け出ることが義務づけられています。実はこの話、お店や事業をオープンした後に初めて知って慌てる経営者の方がとても多いポイントなんです。

うちのお店・建物も対象になる?

対象かどうかは、建物の用途と「収容人数」で決まります。飲食店や物販店など不特定多数の人が出入りする建物(特定防火対象物)は、収容人数がわずか10人〜30人以上でも対象になります。事務所や工場など(非特定防火対象物)は50人以上が目安です。

ここで多くの方が見落としがちなのが、「人数は自分のテナントだけでなく、建物全体で数える」というルールです。小さな1店舗だけを見て「うちは関係ない」と思っていても、ビル全体の人数を合算すると対象になっているケースが少なくありません。

「業務委託」で結局なにを任せられるの?

防火管理の業務委託には、大きく2つのパターンがあります。

①実務だけを委託するパターン
防火管理者は社内の方が選任されたままで、消防計画の作成、点検、避難訓練の実施、消防署への届出書類の準備といった実際の作業を、専門の業者にサポートしてもらう方法です。一番取り入れやすく、多くの事業者が選んでいる形です。

②管理者そのものを委託するパターン
建物の規模や用途が一定の条件を満たす場合には、外部の専門会社の担当者に「防火管理者」そのものを担ってもらえる制度もあります。条件は建物ごとに異なるため、利用できるかどうかは管轄の消防署や専門業者への確認が必要です。

自分でやる場合 / 業務委託する場合

自分たちだけで対応する場合

講習を受けて資格を取得する必要がある

消防計画の作成・更新を自分で行う

訓練や点検の日程調整も自分で管理

本業の合間になり、つい後回しになりやすい

業務委託する場合

資格や法令対応は専門家にすべて任せられる

法改正があっても自動的に対応してもらえる

訓練・点検のスケジュールも先回りで管理

本業に使える時間がしっかり確保できる

知っておきたい「数字」の話

総務省消防庁の調査(令和3年3月31日時点)によると

約19万件

これが、防火管理者の選任が義務づけられているにもかかわらず、まだ届出が済んでいない建物の数です(全国108万1,668件のうち選任・届出済みは82.4%)。届出を怠った場合は法令違反となり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になることもあります。

また、2025年11月には大分市で大規模な火災が発生し、これを受けて総務省消防庁は消防防災対策のあり方を検討する会議を立ち上げ、現在も検討が続いています。建物の管理体制を見直すきっかけとして、こうした動きにも注目が集まっています。

特に注意したい業種・建物

飲食店・居酒屋

収容人数10人以上で対象になりやすく、火を使う厨房があるため出火リスクそのものも高めです。深夜営業や満席状態が多いお店ほど、避難経路の確保と訓練の実施が重要になります。

マンション・テナントビル

建物全体で人数を合算するため、各テナントが「自分は関係ない」と思っていても、ビル全体では義務が生じているケースが多くあります。さらに大きな建物では、テナントごとの防火管理者をまとめる「統括防火管理者」も必要です。こちらも全国88,819件の対象建物のうち選任・届出済みは63.5%にとどまり、約32,000件が未届出のままという調査結果があります。

神社・寺院

木造建築が多く延焼しやすいうえ、文化財を収蔵している場合は一度の火災で取り返しのつかない損失につながります。一方で、専任の担当者を置きにくい小規模法人が多いことも実情です。

業務委託の3つのメリット

安心

法令対応をプロに一任でき、抜け漏れの心配が減ります。

時短

書類作成や届出の手間が減り、本業に集中できます。

継続

担当者が変わっても、管理体制が途切れません。

費用は、どれくらいかかるの?

委託費用は、建物の規模や依頼する業務の範囲によって幅があります。点検だけを依頼するのか、消防計画の作成や訓練の運営まで含めて任せるのかで金額感は変わってきます。まずは複数の専門業者から見積もりを取り、対応範囲とあわせて比較してみることをおすすめします。

よくある質問

Q. 資格がなくても防火管理を任せられますか?

A. はい。業務委託によって、実務部分を専門家にサポートしてもらう方法があります。

Q. 小さい店舗でも対象になりますか?

A. 建物全体の収容人数で判断されるため、1店舗が小規模でも対象になることがあります。

Q. まず何から始めればいいですか?

A. ご自身の建物が対象かどうかを確認し、管轄の消防署や専門業者に相談することから始めるのが確実です。

まとめ

「自分の建物は自分で守る」が防火管理の原点ですが、そのすべてを一人で抱え込む必要はありません。専門家の手を借りることで、安全の確保と本業への集中、その両立がぐっとしやすくなります。

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